ありのままを生きる

社協だよりNo.109に掲載している『今月の一冊』をご紹介します。
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ありのままを生きる 〜障害と子どもの世界観〜
著者/浜田寿美男
出版社/岩波書店

この本は、まず最初に著者が勤務する大学のゼミで出会った、たかし君のことについて描かれています。自閉症のたかし君は、ゼミが始まる前に必ず出席簿とボールペンを用意して、やってくる学生一人ひとりに「サイフ見せて下さい」と言うなど、いろんなこだわりがあり、初めはみんな戸惑います。しかし長く付き合いなじんでくると、彼なしではゼミが成り立たないような気になってきます。
著者はこの出会いから、自閉症をもつたかし君を「障害」「個性」と呼ぶのではなく、「文化」として捉えることができないかと投げかけ、豊かな異文化接触について考察されます。文化には優劣等なく、対等で、それぞれの生きるかたちをみんなが認め合えば交歓の世界をつくりあげることができるという内容を読み進めていくと、とても明るく前向きな気持ちになり、「こんな世界になったらいいな」と心惹かれました。そして、本来、多様な生きるかたちの交歓がうまれるはずの学校では、障害をもつ子のクラスを分けるなど、異文化の接触ができないような環境にあることを問題視されており、学校という場の意味を考えなければならないと感じました。
また、「ありのままを生きる」とは、丸裸で生きることではなく、その人のありのままにふさわしい生活世界がその人を囲んでいるということが書かれています。その言葉から、私が毎日生活している世界はどうなのか見つめなおすことができました。「ありのままを生きる」という言葉自体はよく聞きますが、このことの意味を改めて深く考えることができた一冊です。

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