先日、とても素敵なご夫婦に出会いました。
Aさんは、ご自宅で要介護5の認定を受けたご主人と2人暮らしです。7年前にご主人が脳幹出血を発症されて以降、自宅での介護が続いています。介護が始まった当初は、自由にならない体を嘆き「死にたい」とAさんに訴えられ、Aさん自身も慣れない介護に、「なぜ、どうして」と、追いつめられる日々が続いたそうです。
ある日、涙ながらに「殺してくれ」と言われるご主人に、Aさんは「お父さんを殺したくない。辛いと嘆きながら過ごすより、二人でもっと楽しく生活しようよ」と声をかけました。二人で話し合いながら、様々な医療・福祉サービスを利用し、少しずつ自分たちらしい生活を築いておられます。
デイサービスのない日は、前日から「お父さん、明日はいつもより1時間ゆっくり起きようか」と二人で朝寝坊をしたり、Aさんの頑張ったご褒美にネイルを楽しんだりされています。
今の目標は、Aさんが70歳を迎えるあと3年間を、自宅で二人で暮らすこと。その時が来たら、自分たちの体と相談しながら、またそれからのことを考えようと決めているそうです。
辛いな、きついなと思う時は、少し離れる時間を作ること。ご褒美や楽しいことを見つけること。短いスパンで頑張りすぎないこと。これらに、在宅介護のヒントが隠されているのかもしれません。どちらかだけが頑張るのではなく、お互いがお互いを思い合う姿に、温かな気持ちになると同時に見習いたいなと素直に感じる出会いでした。